THE CAFE  ―The Japan Business Law Examination―

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「ビジネス実務法務検定」試験対策の喫茶店「ビジ法カフェ」

◆合格体験記◆

 

■店主アキサワ、2級試験への挑戦

◆1.準備段階

9月末に会社を辞め、10月に入るとすぐ北海道への旅行へ出かけた。
1週間ほどで地元に戻り、10月9日に企画を担当しているピアノコンサートに参加した。

実質的にビジ法の勉強を始めることができたのは、10月11日だった。

第16回試験の実施日は12月12日なので、タイムリミットまではちょうど2ヶ月ということになる。

会社を辞めたフリーの状態での2ヶ月なので、
会社づとめをしながらの2ヶ月と比べれば時間に余裕があるといえた。

しかし、12月上旬に上映されるインディーズ映画のプロモーションを
同時に進めていたこともあり、無駄にできる時間はなかった。

勉強開始時点での私の状況を整理すると、

某私立大学法学部卒業
・学生時代は落ちこぼれ。定期試験は丸暗記で乗り越えていた。

ビジ法3級は取得していない
・ビジ法は3級を飛ばして2級を受験できる。

資格試験に挑戦した経験ナシ
・運転免許以外の資格試験に挑戦したことは全くなかった。

大学を卒業してから既に4年が経ち、しかも落ちこぼれ学生だったので
知識的には「初学者」と変わらないだろうと自覚していた私だったが、

書店で3級のテキストを立ち読みしてみたところ、
記憶しているか否かは別としても3級の内容について
「言葉として分かる」という印象があり、2級の受験を決めていた。

3級を取得してから2級を目指すか、3級を飛ばしていきなり2級を狙うか、
の判断はなかなか難しいが、
3級の内容が「言葉として分かる」か否かは判断材料のひとつになると思う。

というのも、他のジャンルと同様、
この法律という分野においても「共通語」のようなものが存在し、
それが「当然知ってるでしょ?」という感じで話が進められてしまいがちだからだ。

なので、自信のない人は、当然3級から始めるべきだと思うし、
3級のテキストの内容が「言葉として分かる」人も、

2級の勉強をする中で、疑問点にぶつかったら3級のテキストに戻って確認できるように
3級テキストも参照できる準備を整えておく必要があると思う。

私の場合は、古本屋で古い年度版の3級テキストを探して、手元に置いておいた。

実務への対応を考えた場合、私のように飛び級で2級に合格した人は、
「穴」を無くすため、必ず3級テキストに立ち戻って知識を補完しておく必要があると思う。


2.公式テキストの通読

会社を辞めることは、辞める一月前くらいに急に決めたので、
実は当初は会社づとめをしながら12月の試験に向けて勉強しようとしていた。

昼休みも勉強にあてようと2級公式テキストを2冊購入し、
1冊を会社、もう1冊を自宅に置いて効率よく勉強する準備を整えていた。

しかし、私のいた広告業界というのは、
従業員を時間的にしばりつけることに関しては屈指の業界であり、

現実には自宅で勉強する時間は1秒も確保できず、
かろうじて昼休みの30〜40分だけが私に与えられた勉強時間の全てだった。

ちなみに休日は自宅にいるときも「アイデア出し」などに追われ、
勉強どころか睡眠時間の確保さえ怪しいような状態だった。

私の場合は、結果として会社を辞めて試験に臨む形になったわけだが、
会社づとめを続けながらの勉強を前提とする場合、

『1日:2〜3時間 期間:5〜6ヶ月』

程度の勉強時間&期間を確保できる環境が、最低条件ではないかと思う。

昼休みのわずかな時間では集中もできないし、
ただ「読む」といっても相手は法律関係の本である。
少しでもボーっと読み進めてしまうと話がつながらなくなってしまう。

結局、9月末に会社を辞めた時点で、私は
公式テキストの第2章「取引を行う主体」の株式会社のあたりをウロウロしているような有様だった。

10月11日から通読を再開したわけだが、
問題演習にあてる時間のことを考えると、早くて2週間、
最悪でも月内には通読を終わらせる必要があるだろうと判断した。

通読に関してアドバイスするとすれば、
必ず鉛筆か何かで
足跡を残しながら読み進めることをおすすめしたい。

(例)「分からない」→「?」マーク 「なるほど」→アンダーラインを引く

マークする基準は何でもいい。間違っていてもいい。鉛筆だったら消せるので心配ない。

公式テキストは分量が多い。だから1ページ1ページをつぶしていく感覚が欲しいのだ。

「?」マークだらけになってもいいと思う。問題演習で初めて理解できることも多い。
考えた痕跡を残しておけば、後の勉強をより効率的に進められると思う。

あと、もう1点。

公式テキストは、章によって難易度や試験における重要度にバラつきがある。

専門分野の違いや実務経験のあるなしによって感じ方も違うのだろうが、
私の場合は第2章「取引を行う主体」と第5章「債権の管理と回収」が特に難しく感じられた。

理由はハッキリしていて、
私が学生時代に「会社法」や「債権・物権」の分野をサボっていたからだ。

試験に合格するという目的を考えれば、難しい項目で留まっているよりは、
まずはザックリと通読を進めて、
問題演習の中で理解をするように心がけた方がいいだろう。

通読は、どこに何が書いてあるかを確認するくらいの読み方でも良いのかもしれない。


◆3.問題集にチャレンジ

10月11日から約2週間で通読を終え、10月25日の週から問題演習に突入した。

公式テキストの姉妹版である問題集は、
公式テキストの各章に対応した「練習問題」と3回分の「過去問」が掲載されている。

この段階では、公式テキストの内容を確認する意味が大きいので、

「1問解く → 答え合わせ → 公式テキストと照らし合わせる」

という作業の繰り返しになる。

特に「練習問題」の方では、
まだ本番を想定して解くわけではないので、制限時間を設けたりする必要もないと思う。

そこで、ポイントになってくるのは、

選んだ答えが合っていたか間違っていたかではなく、
それぞれ選択肢の
どこが正しくてどこが正しくないのかを判断できたかどうかを確認することだ。

2004年度版で例を探すと、こんな問題があった場合、


問題
:次の1〜5の記述のうち、内容が正しいものを1つだけ選びなさい。

1.使用者が労働組合に対し、たとえ最小限の広さとはいえ組合事務所を供与する行為は、
労働組合の運営経費に対する経理上の援助であり、不当労働行為となる。

2.労働組合からの団体交渉の申し入れに対して、
使用者側が自ら有利な場所・時間を指定して交渉に応じることは、不当労働行為に該当する。

3.政治活動を主たる行動目的として労働者が自主的に組織する団体は、その活動により
間接的に労働者の経済地位の向上に役立つ可能性があれば、労働組合と認められる。

4.労働協約は、3年を超える有効期間の定めをすることはできないので、
有効期間を5年とする労働協約は無効である。

5.一つの事業場に常時使用されている労働者の4分の3以上が
一つの労働協約の適用を受けるときは、残りの同種の労働者も同協約の適用を受ける。

5択だから勘やフィーリング、消去法で解けてしまうこともあるだろうが、それでは
同じ問題を出されたとき、異なる言い回しで出されたとき、正答できる保証はない。

知識を踏み固める段階では、選択肢ひとつひとつをチェックする必要がある。

方法は簡単、公式テキストの記述の中に、答えにつながる「根拠」を探せばいいのだ

問題集の解答編を見ると、選択肢についての解説と公式テキストの該当ページが指示されている。
(指示されていない場合もある。その場合はテキストの索引を使って見つける。)

例えば上の問題の選択肢1なら、「(公式テキストP.372)」と指示があるので、
そのP.372を見てみると、こんな記述を発見できる。


(2)不当労働行為の類型

?労働組合の結成運営に対する支配介入及び労働組合の運営経費に対する経理上の援助

労働組合に対する経費援助は原則として許されないが、(a)就業時間中に行われた団体交渉中の賃金の支給、(b)福利厚生基金に対する寄附、(c)最小限の広さの組合事務所の供与は、例外的に不当労働行為とはならない。

選択肢1を判断する根拠になるのは、(c)の記述で、
「最小限の広さの組合事務所の供与は、例外的に不当労働行為とはならない。」
と書いてある。

したがって「〜不当労働行為となる。」としている選択肢1は「×」ということになる。

で、注意したいのは、この(c)の記述が、
この設問を解くために不可欠な、
答えにつながる「根拠」だったということで、
やはりこの部分には何らかのマークをしておきたい。

ということで、発見した「根拠」には青のアンダーラインでも引いておこう。

こうした要領で、選択肢をひとつずつチェックしていくと、
青のアンダーラインがどんどん入っていき、
どの章のどの項目のどの部分がよく試験で問われる部分なのかが分かってくる。

練習問題だけでなく、過去問や模擬試験の場合も、復習にこそ力を入れるべきだと思う。

マークの方法を工夫して、チェックしていくのも効果的だと思う。

例えば私の場合は、

「問題集→青のアンダーライン 演習講座→赤のアンダーライン 過去問→黄のマーカー 2回目→☆」

など一応の法則性を決めて問題演習をしたところ、
上に引用した「不当労働行為の例外」の部分は、本番試験の段階でこんな感じになっていた。


?労働組合の結成運営に対する支配介入及び労働組合の運営経費に対する経理上の援助

労働組合に対する経費援助は原則として許されないが、(a)就業時間中に行われた団体交渉中の賃金の支給、(b)福利厚生基金に対する寄附、(c)最小限の広さの組合事務所の供与は、例外的に不当労働行為とはならない。

私がチャレンジした問題の中では、(b)の部分について問われたことがなく、
逆に(c)は何度も繰り返し問われている重要項目で、
(a)は予備校のセンセイが「出るかもよ」とにらんでいる項目だということが分かる。

試験直前期に、時間の余裕がなくなってしまった場合にも、
このようにチェックしておけば、「読むだけで」内容の重要度を把握しながら復習を進められると思う。


◆4.直前演習講座〜過去問演習

勉強を開始してから3週間後くらいに、若干ではあるが学習計画に狂いが生じはじめた。

私としては10月中に、
過去問までも含めて問題集を1回最後まで通してやっておきたかった。

というのも、ビジ法の本番試験というのは、
2時間(120分)で40問の問題を解かなければならない。

だから1問にかけられる時間は、鉛筆でマークシートに記入する時間も含めて3分である。

ペースをつかむため、実戦型の問題演習をかなりの量こなす必要があるはずだった。

それに、このサイトをオープンした動機でもあるのだが、
私の知るかぎり、ビジ法には受験生同士が情報交換できる場がほとんどなかったので、
法改正など試験に関する最新情報をどこかで収集しておく必要があった。

そんな理由から、11月の第1週・第2週に設置されている
「資格の大原」の2級直前演習コース(ビデオ通学・予約制)に参加することにしていたのだ。

実戦型の問題演習を主な受講目的にしていたので、
その講座に参加する前に一定水準以上の基礎力を固めておきたかったのだが、

問題集の「練習問題」までは終わらせてはいたものの、
「過去問」の方には手をつけられずに講義の初日を迎えてしまった。

結果的には、この講座の問題は過去問よりかなりレベルが高く、
やはり順番通り、過去問をこなしてから臨んだ方がより効果があがっただろうと感じた。

上の項目で紹介したような丁寧な復習をしていると、丸1日かかってしまうようなレベルだった。

おそらく問題集の過去問でカバーできていない部分で、
出題可能性のある内容を問題形式で示すことで応用力を高めるのが趣旨だったと思う。

逆にいえば、過去問をやっていることは大前提だったはずだ。


という感じで、順番は逆になってしまったのだが、
私は11月13日に初めて実戦形式(制限時間2時間)で過去問を解いてみた。

問題集に載っていた第12回試験にチャレンジした結果、スコアは「59点」だった。

これは、さすがの私でも結構ショックだった。本番試験のちょうど一月前である。

最初の過去問チャレンジだったとはいえ、合格ラインの70%を切ってしまったのだから、危機感は増した。

その後、第13回試験では「71点」、第14回試験では「76点」と、
かろうじて70%ラインを越えた。


ここで1点、過去問をやる際に注意しておかなければならないことがある。

それは、過去問の場合、出題当時の問題がそのまま掲載されるので、
法改正などのため正解が違ってくる(正解が出せない)ものが、たまに混じっているのだ。

2004年度版でいえば、

第12回試験では、
6−2、6−3が「てき除制度」、8−4が「短期借地権」で法改正。
6−4、8−3は「手形・小切手」の内容が3級に移行。

第13回試験では、
3−3、9−1は「手形・小切手」の内容が3級に移行。

第14回試験では、
2−4は「手形・小切手」の内容が3級に移行。

もっとも「手形・小切手」などの場合は、3級に移されたというだけで
3級の知識を前提とする2級試験で出題されても文句は言えないわけだが。

注意が必要なのは「てき除」や「短期借地権」のような法改正のケースで、
なまじ問題という形で存在するため知識の混乱を招きやすい。

改正があった旨は問題集の解答編にもしっかり書いてあるので、
選択肢の中に改正内容を含む問題にはマークをするなどして区別しておきたい。

逆に改正内容を含まない選択肢は「生きている」内容なわけで、
一問一答の正誤判定問題だと思ってチェックしておけば良いだろう。

また、点数の計算は除外する問題の分だけ満点を下げて%で算出すればいいと思う。

2005年度版でも同様の現象が起こることが予想される。注意したいところだ。


それから、これはほとんど余談になってしまうが、
せっかく実戦形式で問題演習するのだから、ついでにマークシートの練習もしてしまうといい。

おすすめなのは、中央経済社の雑誌「ビジネス法務」の11月別冊として出された
『ビジネス実務法務検定2級完全対策』という雑誌に付いていたマークシート用紙で、
実際、本番試験のマークシート用紙にかなり似ていた。

今後、この別冊が発売されるか分からないが、予想問題が載っていたりして結構使えた。


◆5.模擬試験〜本番直前期

11月21日に「資格の大原」の水道橋本校に行き、模擬試験を受験した。

私は独学だったので、ビジ法の勉強を開始してから初めて、他の受験生たちの姿を見た。

年齢層はかなり幅広く、20代・30代の人が多かったようだが、
40代・50代かと思われる人たちの姿もあった。

直前演習講座の問題と同様、この模擬試験もなかなか難しく、
後日戻ってきた成績は
「64点」だった。

過去問チャレンジでは、何とか70%を越えはじめていたのだが、

ちょっとレベルが上がったり、ひねった問題を出されると
簡単に合格ラインを下まわってしまうという好例だった。

個人的には「難問」という印象だったのだが、
成績表と一緒に送られてきた得点分布表で「100点満点」を取った人が1名いたことを知り、
「世の中には頭の良い人がいるもんだなあ」と感心してしまった。

模擬試験の後、再度の基礎固めの必要性を感じたので、
いったん問題演習を中止して、公式テキストの読み直しをすることにした。

テキストは、問題演習を経た結果、
上で紹介したような「重要ポイントがマークされた」状態になっていたため、
最初に通読をしたときよりもスピーディーに理解が進んだ。

おさらいをした上で、11月29日に第15回試験の過去問に挑戦した。
結果は
「82点」。初めて80点ラインをオーバーした。

ここでちょっとコメント。


公式テキストの姉妹版ともいえる「問題集」には、3回分の過去問が収録されるが、
問題集が発行されるのは年1回なので、

私のように12月の試験を受ける人の場合、
同じ年の7月の試験問題にチャレンジできなくなってしまう。

12月試験の対策にあたって、同じテキストから出題された7月試験は、とても参考になる。

予備校のガイダンスやホームページで
解答解説付きの問題をもらえる場合があるので、有効活用したい。


それから、もう1点。本試験の難易度について。

第12回以降の本試験の「合格率」を並べてみると、(奇数回が7月・偶数回が12月)

第12回 第13回 第14回 第15回 第16回
34.2% 42.3% 28.6% 46.8% 30.8%

これはもうハッキリと、7月と12月とでは合格率に差が出てしまっている。

おそらく主催者側からすれば、
33%くらいの合格率を理想と考えているのではないだろうか。

第13回で高くなりすぎた合格率を矯正するため、
問題の難易度を調節しはじめたのが
ここ数回の合格率の乱高下につながっていることは、ほぼ間違いないと思われる。

何が言いたいのかというと、過去問にトライするときにも、
それが出題されたときの合格率と、自分が受験しようとしているのが夏なのか冬なのかは、
意識しておく必要があるのではないかということ。

なので私の場合は、第15回試験の過去問で「82点」が取れたからといって、
とても安心できるものではなかった。

何故なら私が受験しようとしていたのは、冬の試験だったから。

マークミスなどによる失点も考えて、70点取れたら80点を、
80点を取れたら90点を、90点を取れたら満点を、
という慎重さが、直前期の勉強では大事ではないかと思う。


その後、『ビジネス法務・11月別冊』に載っていた予想問題は「68点」と苦戦したが、
過去問の2回目では「88%」「86%」「83%」と平均で80%以上をキープ。

大原の直前演習講座の4回分の問題も「85%」「90%」「80%」「90%」と復習が進んだ。

予想問題の2回目で「87点」、大原の模擬試験「80点」と、以前苦戦した問題にも対応できてきた。

そして、本番前日の12月11日。
第15回試験の2回目で「95点」をマークして、問題演習を終えた。


◆6.試験当日〜自己採点

12月12日試験当日、
午前中に図書館で軽く「頭のウォーミング・アップ」をしてから会場に向かった。

集合時間は午後1時30分だったが、係員による注意事項などが意外に長く、
実際に試験が始まったのは1時50分くらいだった。

で、開始の合図で問題冊子を開いたわけだが、
恥ずかしい話、どうも久しぶりに体験する「試験の雰囲気」に飲まれてしまっていたらしい。

1−1の設問で、いきなり頭を抱えてしまうハメになる。

頻出項目で過去問でもよく出ている「独占禁止法」の問題で、
選択肢「エ」が×というのは分かったのだが、
その他の選択肢をいくら読んでも×の項目を探し出せない。

しかたなく、組み合わせに「エ」を含むものから絞り込む方法で、
「ア」「オ」どちらかと判断したが、それでも両方正しいような気がする。

となると今度は、自信のあった「エ」が怪しく感じられてくる。
典型的な悪循環パターンである。

ドツボにはまってしまった私は、なんと1問目から早くも「パスする」という選択をする。

しかし、次に待ち構えていた1−2の設問を見て、絶句した。

「Y社は、X社から以下の内容の書面を受領した。」というリード文に続いて、
四角く囲った「債権譲渡通知」と銘打たれた文書。

具体的な文書サンプルから読み解くパターンの問題である。
しかし、このパターンの問題は私が知っている範囲では
「株主総会議事録」についてしか出題されていなかったはずだ。

公式テキストの第5章「債権の管理と回収」の内容を苦手とする私は、
債権譲渡の第三者通知については、
過去問や大原の演習問題をほとんど丸暗記するようなやり方で勉強していた。

最も苦手とする項目で出題パターンをいじられたため、恐ろしく難しく感じた。

結局私は、1−1に続いて1−2も「パス」という選択をすることになる。

意気込んで臨んだ1発勝負の試験で、
最初の2問を無回答でパスする心理状態を想像していただきたい。

上で紹介した「合格率」のデータが脳裏をよぎる。
「第15回の高い合格率から『難問』を予想してはいたが、正直ここまでとは…」

「もうダメか…」と思いかけた頭に、ひとつのアイデアが浮かんだ。


なんてことはない。あらゆる試験における鉄則、「できる問題からやる」だった。

過去問をやりながら、「1問あたり3分」という解答ペースを作ってきた私は、
前半の20問を終えて5〜10分、
後半の20問も終えた時点で10〜20分、時間が余るのを目安にしていた。

もちろんそれは、前から順番に解いていった場合のペースである。
最初の2問を飛ばしてしまったので、既にペースも何もない。

方針を転換した。
できる問題は解いてマークシートに記入、難しい問題は印だけ付けて飛ばした。

最後の40問目までを終えた時点で、マークシートは6〜7割埋まっている状態だった。
試験時間は、1時間を少し過ぎていた。

そこから、もう一度1−1の設問に戻った。

目にした瞬間に気づいた。さきほど苦戦した選択肢「ア」の中で、
入札談合を「不当な取引制限」とすべきところが、「不公正な取引方法」になっていた。

また、1−2も文書サンプルというコケおどしがあるものの、
選択肢を細かくチェックしていけば、
公式テキストの「債権譲渡のポイント」という表で整理されていた内容で対応できた。

そこからはパスした問題を順番に埋めてゆき、
制限時間内に全ての問題に解答することができた。


さて、ここで余談なのだが、
私のように「自滅的に」あがってしまう場合もあるが、
その他の受験生によって集中力を切らしてしまうケースもあるだろう。

私が受験した会場では、斜め後ろに座っていたオジさんが、
無意識の癖なのか、「タメ息」みたいに「はぁ〜」という大げさに呼吸をする人で、

少し離れている私でさえ気になったくらいなので、
彼の前の席に座っていた人はさぞかし迷惑したのではないかと思う。

ただこれ「生理現象」なのでしかたないかとも思う。

対策としては、普段から、
図書館の自習室など
「色々な人がいる」場所で勉強するようにし、
多少のことでは集中力を切らさないように訓練しておくことくらいしかないだろう。

私の場合は、図書館で、

「シャープペンの置き方がうるさい高校生」
「発音をしながら英語の勉強をするオジさん」
「ブタ鼻をすするのが癖の受験生」
「消しゴムを使うたび長机をユサユサ揺らす女子高生」

などと一緒に勉強して鍛えていたので、本番試験での「タメ息」攻撃にも負けなかった。


と、試験を終えた私だったが、序盤の混乱が尾を引いていて、
「ダメかな」という印象が強かった。

自信をもって解答できた問題があまりなかったように感じた。

自己採点で確認をしてから家に戻ろうと思っていたので、
夕方まで時間をつぶし、マンガ喫茶に入った。

端末で大原とTACのホームページをチェックし、解答速報で自己採点をする。

自信がなかった割りには○が多くついていき、結果「90点」だった。

マークミスなども考え、自己採点で80点が安全圏と思っていたので一応ほっとした。

気になるのは、多くの問題をパスしながら解答していったので、
解答欄をずらしていないかということ。

マークが薄いなどのマークミスなら、あっても1・2問だと思うが、
「ずらし」をやってしまった場合は連鎖的に他の解答もやられるので、大量失点もありうる。

結果、最悪の「ずらし」はなく、
通常のマークミスで3点問題を1問を失うにとどまり、
「87点」で合格することができた。


この項目は「体験記」ということで、ちょっと長くなってしまいました。
だいたい伝えられたような気もするし、大事なことを落としているような気もします。

今後もバージョン・アップしていきたいと思っています。質問などはメールでお願いします。

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