(2001年)


 

001.「好きなのに泣いたのは何故? 思い出はいつの日も…雨」

   <MEMO>「TSUNAMI/サザンオールスターズ(00)」(作詞・作曲:桑田佳祐)

☆300万枚以上を売り上げた、サザン史上最大のヒット曲。「未来日記」の例の回で初めて聴いた時、「売れるな」と直感したものの、正直ここまでのビッグヒットになるとは思わなかった。全篇を通じて「これぞ桑田節」といった感じで、目新しい言葉は見当たらないものの、最後のシメで見事にヤラれた。

☆一番で「思い出はいつの日も雨」。二番で「悲しみに耐えるのは何故?」。間奏を挟んだサビで「微笑をくれたのは誰?」ときて…「好きなのに泣いたのは何故?」。うーん、この一文に尽きる…と思いませんか?(9/6)

 

002.「身も心も 照る照る坊主になって 大好きな 君のために祈ろう」

   <MEMO>「晴れてタムレ/TUBE(95)」(作詞:前田亘輝/作曲:春畑道哉)

☆アルバム「ゆずれない夏」より。TUBEはワンパターンと思われがちだが、前田亘輝という人は時々神がかり的な言葉遣いをしてくる。「晴れてタムレ」の、この2番のサビ部分はその好例。

☆一番のサビは「愛し君と 冷えたビールで酔いしれ 感じたい 体中で明日こそ」と、ビール会社のタイアップを意識したかと思われる、「そりゃアンター」的な歌詞。これに対応する2番のサビが、問題の「照る照る坊主」だ。  

☆いわゆる「夏ソング」に、テルテル坊主は定番だ。が、テルテル坊主「晴れてタムレ」と祈るのが普通では?なんと、前田は自らテルテル坊主になって祈ってしまうのである。歌詞は「小麦色の想い、イヤみにならぬように、どうぞなにとぞ、晴れてタムレ」と続く。女性に想いを伝えるために、前田は出家までしてしまうのか…?

☆曲は、けっこう地味です。でも、このフレーズの部分は曲・詞ともに、ずっと僕の頭から離れません。(9/6)

 

003.「今夜で別れと知っていながら シャワーを浴びたの哀しいでしょう」

   <MEMO>「外は白い雪の夜/吉田拓郎(78?)」(作詞:松本隆/作曲:吉田拓郎)

☆歌詞は、僕が敬愛する作詞家・松本隆の手による。ワンコーラスごとに、男女の視点が入れ替わる歌詞になっている。同じく松本隆の作品「木綿のハンカチーフ/太田裕美」でも同様の手法が採られるので、僕は個人的にこのタイプの歌詞を「木綿のハンカチーフ形式」と呼んでいる。

☆このフレーズは、2番の「女性視点」のもの。作品全体に、「悲しい」というよりも「哀しい」というトーンがあるように感じる。ボロボロ泣いたりする「かなしさ」ではなく、「さびしさ」「わびしさ」みたいな。

☆淡々とした吉田拓郎の歌も、胸に響く。何度聴いても、何度読んでも、やっぱり「哀しい」フレーズだ。(9/9)

 

004.「柔な生き方 笑ってた俺が 優しい鼓動 時計代わりに こうして生きてる」

   <MEMO>「魂を抱いてくれ/氷室京介(95)」(作詞:松本隆/作曲:氷室京介)

☆これまた、松本隆作品。氷室京介の楽曲としては珍しい「オール日本語」タイトルの曲。「街翳」「微睡む(まどろむ)」「睫毛」「綺麗」、さらにはコーヒーを「珈琲」と表記するなど、漢字を多用。十八番の「ひらがな」ではなく、敢えて漢字を用いることで、日本語・英語混じりの傾向が強い氷室楽曲の中で独自の存在感を獲得している。

☆テーマがセックスだけに、下手に書くとイヤらしくなってしまいそうだが、さすが。「鼓動=有機、時計=無機」という対比を、単純な対比から飛躍させて「有機的に」結びつける…さすがです、脱帽。(9/10)

 

005.「さよなら僕の かわいいシロツメクサと 手帳の隅で 眠り続けるストーリー」

   <MEMO>「冷たい頬/スピッツ(98)」(作詞・作曲:草野正宗)

☆スッピツの楽曲の中では、かなり好きな部類に入る曲。このフレーズは、唄い出しの部分と呼応するようなカタチで最後のシメのブロックに出てくる。草野正宗の歌詞は抽象的なモノが多いように思うが、使われる言葉自体は決して難解ではない。そして草野は、歌詞の中に彼の世界観を解く鍵を必ず残す。

☆このフレーズに続いて、繰り返しの「風に吹かれた君の冷たい頬に触れてみた小さな午後」で曲が終わる。

☆何やら、深ーい意味が隠されていそうな感触。知りたいが知りたくない、そんな気がするフレーズ。(9/16)

 

006.「民族紛争 果てしない仕返し 正義のアメリカ ミサイルぶちこむ」

   <MEMO>「素晴らしきこの世界/真心ブラザーズ(93)」(作詞・作曲:倉持陽一)

☆「バイクでスピードこの身を任す 色んな風景うしろへぶっとぶ さあてと僕は何をしようか 少なくとも校舎の窓は割らないよ」という、尾崎豊を意識したフレーズも好き。

☆例の事件で、ふと思い出したように聴いてしまった。これ以上はノーコメント。(9/16)

 

007.「持ちきれない程の悲しみを せめて笑顔がすくうのなら 僕は道化師(ピエロ)になれるよ」

   <MEMO>「道化師のソネット/さだまさし(80?)」(作詞・作曲:さだまさし)

☆太宰治ではないが、道化とかピエロとかいう言葉に対しては「マイナスイメージ」を持っていた。この曲は、実在のサーカス団員をモデルにした映画「翔べイカロスの翼」(さだ自身も出演)からヒントを得て作られたようだ。

☆「抑圧」「不自由」「悲哀」みたいなイメージが先行する道化師(ピエロ)という言葉を、こんなにさわやかに謳いあげることができるんだと感心した。「誰かのためにピエロになる」というのも、何か深そうです。(9/22)

 

008.「フェイクファー 身にまとって どうして本当の愛 捜してるの?」

   <MEMO>「In My Room/宇多田ヒカル(99)」(作詞・作曲:宇多田ヒカル)

☆500万枚以上を売り上げたお化けアルバム「First Love」に収録。作詞面で、ずば抜けてこの曲がいいと思うのだが、シングルカットされていないので、世間の評価がどうなっているか気になるところ。

☆各ブロックのシメのフレーズが、「ウソもホントウも口を閉じれば同じ」「ウソもホントウも君がいるなら同じ」と呼応してきて最後に「ウソもホントウも君がいないなら同じ」とくる。このフレーズもぐっとくる。(9/30)

 

009.「everybody goes everybody fights  退屈なヒットチャートに ドロップキック」

   <MEMO>「everybody goes−秩序のない現代にドロップキック−/Mr.Children(94)」
(作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿・小林武史)

☆「イノセント・ワールド」に象徴されるような爽やかな作風が続いたシングル作品群の中で、アルバムチューンの中で小出しにしていた「社会風刺」的な歌詞を前面に押し出してきた、ストレートなロックンロール・ナンバー。

☆「イノセント・ワールド」「トゥモロー・ネバー・ノウズ」という大ヒットの直後に、「退屈なヒットチャート」とバッサリ斬り捨ててしまうというのは、やっぱり面白い。ヤバ・ネタも、リズムに乗せてさらりと唄っちゃっている。ヒットを飛ばしても「ロック魂」は失わないぞ、というメンバーの決意を込めた曲か。

☆あえて、この曲をシングルにしたこと自体、「退屈なヒットチャートにドロップキック」なのかも。(10/2)

 

010.バスは煙残し 小さく咳きこんだら 目の前がにじんだ黄昏

   <MEMO>「青春のリグレット/松任谷由実(85)」(作詞・作曲:松任谷由実)                             

☆アルバム「DA・DI・DA」やベスト盤に収録。シングルではないが、人気は高いらしい(詳しくないのだ)。

☆北川悦吏子脚本のドラマ「ロング・バケーション」のノベライズ本を読んでいたら、この曲が作品中に登場した。そこでは「あなたが本気で見た夢をはぐらかしたのが苦しいの」というフレーズが強調されていたように思う。

☆「私を許さないで 憎んでも覚えてて 今でもあなただけが青春のリグレット」というフレーズが有名。(10/15)

 

011.お元気ですね 幸せですね  お返事ないのは そうなのですね

   <MEMO>「お元気ですか/清水由貴子(77)」(作詞:阿久悠/作曲:三木たかし)                             

☆歌い手のヒョウヒョウとした声と、さわやかな曲調の一方、言い訳めいたセリフは、かなりせつない。

☆主人公宛に「お返事がくる」のは、かなり絶望的な状況ではないかと推測できる。(10/22)

 

014.「この恋が きめられた運命なら せめて時を越えて 通り過ぎたい」

   <MEMO>「Cherie/チェッカーズ(89)」(作詞:藤井郁弥/作曲:鶴久政治)

☆「THE CHECKERS BEST」(カラオケ盤との2枚組の方)に収録。

☆僕の場合、テレビの音楽番組を見るようになったのは、チェッカーズがきっかけだったような気がする。ロックもポップスも、何も音楽に関する知識を持っていない頃に、理屈抜きで「好き」だった覚えがある。

☆このCherie(シェリー)もテレビでしか聴いたことがなかった。解散の時のベスト盤(3枚組)に当然入っているものと思って買ったら、入っていなくて激怒して以来、ちゃんとした形で聴く機会がなかった。で、最近CD借りて聴いてみたら、やっぱりいいんだなこれが。

☆特に上のフレーズ、この部分のメロディーも大好き。密かにチェッカーズの最高傑作ではないかと思っている。同じCDに収録されていた「Jim&Janeの伝説」もいい。これも作曲者は、鶴久政治。(11/15)

 

015.「あの時 同じ花を見て 美しいといった二人の 心と心が 今はもう通わない」

   <MEMO>「あの素晴らしい愛をもう一度/加藤和彦&北山修(71)」(作詞:北山修/作曲:加藤和彦)

☆桑田佳祐のシングル「白い恋人たち」のカップリングに、この曲のライブ・カバーバージョンが入っていた。

☆改めて歌詞を読むと、シンプルだけどしっかりとした構成になっていることが分かる。(11/26)

 

016.「壁のスキーの雪が溶けて滑り落ちてく 今夜私はあなたのものよ 生まれたままで粉雪の夜(イヴ)」

   <MEMO>「Pearl‐WhiteEve/松田聖子(87)」(作詞:松本隆/作曲:大江千里)

☆ベスト盤などに収録。作曲は「♪かっこわるい、ふられかーたー」の大江千里。

☆「壁のスキーの〜」。ここに、こういう情景描写がくるのは、さすが松本隆という感じだ。

☆こんなセリフ、一度でいいから言われてみたい。できることなら、何度も言われてみたい。(12/1)

 

017.「好きな服を着てるだけ 悪いことしてないよ」

   <MEMO>「DIAMONDS/プリンセス・プリンセス(89)」(作詞:中山加奈子/作曲:奥居香)

☆ベスト盤などに収録。久しぶりにラジオで聴いて、懐かしくなってテープを引っ張り出してきた。

☆2番の歌詞「幾つも恋して順序も覚えてKISSも上手くなったけど」の「順序も覚えて」あたりを聴いて、少年時代の不肖アキサワは、フンガーフンガーと興奮したものです。

☆プリ・プリはほとんどの楽曲でボーカルの奥居香が作曲をして、その他の各メンバーが作詞を担当していたようです。名曲として名高い「M」は、ドラムの富田京子の作詞。(12/11)

 


 

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