(2002年)


 

018.「ぼくを大人にしたのはきみさ こんなつらい孤独や 淋しさで」

   <MEMO>「雨のMelody/Kinki Kids(99)」(作詞:康珍化/作曲:武藤敏史・坂井秀陽)

☆うまい。「ぼくを大人にしたのは」でドキッとさせて、後半でマイルドに。

☆2番のBメロ「Ah 雨に煙る駅の前で」のブロックに出てくる「きみの香りに凍りついてたよ」もいい。(1/20)

 

019.「ふるさとへ帰る地図は 涙の海に捨てていこう  悪いのは僕のほうさ 君じゃない」

   <MEMO>「さらば恋人/堺正章(71)」(作詞:北山修/作曲:筒美京平)

☆桑田佳祐が刑務所の慰問で唄ってた。といっても、僕が入所していたわけではなく、『ミュージック・タイガー』という番組の企画だった。あの番組はよかった。昔の名曲をいろいろ教えてもらった。復活を願う。(2/3)

 

020.「願いごとのすべてが うまく行くとは思わないけれど 今言える言葉は Just say I want you」

   <MEMO>「KNOCKIN' ON YOUR DOOR/L⇔R(95)」(作詞/作曲:黒沢健一)

☆今や中古CD店の「100円」コーナーで見かけることも多いアルバム『Let me Roll it!』に収録。

☆L⇔Rは、リアルタイムではラジオとかでしか聴いたことがないのに、妙に覚えてしまっている。それだけ、ポップでキャッチーな楽曲を提供していた、ということなのだろう。音は、マージービートの90年代的解釈、という感じ。わざとアナログっぽいノイズを混ぜたりしていて、結構凝っている。

☆歌詞が軽めなのが100円査定の要因だろうか。楽曲のほとんどは黒沢健一が書いているようだが、べーシスト木下裕晴の手による楽曲は歌詞がいい。「木下&黒沢」で作ったらもっと面白かったんじゃないだろうか。(2/6)

 

021.「10年前の僕らは胸をいためて 『いとしのエリー』なんて聴いてた」

   <MEMO>「愛し愛されて生きるのさ/小沢健二(94)」(作詞/作曲:小沢健二)

☆アルバム『ライフ』に収録。

☆うまい。さらに「ふぞろいな心は今でも僕らをやるせなく悩ませるのさ」と続く。『いとしのエリー』をモノサシにして時代感を出してしまうなんて、お見事としか言いようがない。

☆以前これを真似て、爆風スランプの『RUNNER』にオマージュを捧げる歌詞に挑戦して失敗した。(2/7)

 

022.「さよなら もうすぐ外は白い冬 愛したのはたしかに君だけ そのままの君だけ」

   <MEMO>「さよなら/オフコース(80)」(作詞/作曲:小田和正)

☆ベスト盤などに収録。入ってなかったらサギっぽい名曲。

☆「僕がてれるから 誰も見ていない道を 寄りそい歩ける寒い日が 君は好きだった」も、いい。(2/7)

 

023.「淋しかったからあなたを愛して 淋しかったからあなたを憎んだ 淋しかったからあなたにさよならを」

   <MEMO>「すみれ色の涙/岩崎宏美(81)」(作詞:万里村ゆき子/作曲:小田啓義)

☆オリジナルは、『ブルー・シャトー』などで有名なGSバンドのザ・ブルー・コメッツ?。

☆『聖母たちのララバイ』は、火曜サスペンス劇場のテーマソングだった。当時、うら若き幼稚園児だった僕は、この大ヒット曲のサビ「♪熱い胸に甘えて〜」あたりで、子供ながらにエロスを感じて身悶えたものだった。

☆でも『聖母たちのララバイ』は、さんざん聴かされて飽きた感があり、大人になってからはもっぱらこの『すみれ色の涙』が、岩崎宏美の曲の中で僕の一番好きな曲になっている。(2/15)

 

024.「僕の背中は自分が思うより正直かい? 誰かに聞かなきゃ不安になってしまうよ」

   <MEMO>「どんなときも。/槙原敬之(91)」(作詞/作曲:槙原敬之)

☆映画「就職戦線異状なし」を見て、久し振りに聴いて認識を新たにした。意外にも、映画の中ではラストのエンド・ロールで一回流れるのみ。贅沢というか勿体ないというか、タイアップがそれほどガツガツしていなかったということなのだろうが、それにしてもこの曲、映画の主題歌という印象が強いのは、当時「エフ・テレビ」ことフジテレビで大量に流されたCMの影響だろうか。

☆同じ91年のヒット曲「それが大事」ほど説教臭くなく、それゆえに、繊細な言葉で綴られる歌詞は小気味よく共感できるものだった。リアルタイムに聴いた世代の潜在意識に、必ず何がしかの影響を与えたはずの曲。

☆タイトルの「どんなときも」に「。」が付いているのも、ひとつの注目点といえよう。(5/9)

 

025.「長過ぎる 一日をもてあまし  彷徨(さまよ)えば  哀しいくらい 自由なの」

   <MEMO>「マンハッタン・キス/竹内まりや(92)」(作詞/作曲:竹内まりや)

☆奥さんが、不倫をテーマにしたこういうリアリティー溢れる見事な描写の歌詞をさらっと書いて持ってきてしまった時、旦那様兼プロデューサーであるところの山下達郎御大は一体どんな気持ちだったのだろうか。(5/10)

 

026.「ジョークはよしてと 言うつもりが ついうなづいたのは 

                    なつかしげに 流れていた “イエスタディ・ワンスモア”のせいね」

   <MEMO>「6月の花嫁(JUNE BRIDE)/サーカス(79)」(作詞:山川啓介/作曲:滝沢洋一)

☆「Mr.サマータイム」「アメリカン・フィーリング」などのヒットで知られる、邦楽コーラスグループ・サーカスの曲。ジャクソン5風のリズムに乗せたコーラスが心地よい。上の歌詞は、「学生時代からの男友達から突然プロポーズを受けた」という描写に続く部分。聴いてみると「イエスタディ・ワンスモア」の部分は譜割りがギリギリで、曲先で作ったとすれば、「よくぞ入れた!」という感じなのだ。そして、バッチリ決まっている。

☆編曲は、はっぴいえんどのギタリスト・鈴木茂が担当したらしい。(8/27)

 

027.「欲望だらけの 街じゃ 夜空の  星屑も 僕らを 灯せない」 

   <MEMO>「世界が終わるまでは…/WANDS(94)」(作詞:上杉昇/作曲:織田哲郎)

☆第2期(?)ワンズの末期のシングル。その後ワンズは、ボーカル上杉昇・ギター柴崎浩の二人が飛ばされてオリジナルメンバーがゼロになった上に、上杉にそっくりな声を持つ新たなボーカルが加入し、第3期ワンズとして何食わぬ顔で活動を続けるという、J−POP史上まれにみる驚愕の茶番を演じるに至った。

☆という「ワンズ栄枯盛衰記」を目撃したあとで、改めてこの曲の歌詞を読んでみると、一見普通のラヴソングなのだが、全体的に極めて「後向き」な言葉遣いをしていることもあり、94年くらいの段階で「何かトラブルがあったんじゃないか?」と勘ぐりたくなってしまうのだ。曲は、織田哲郎らしい(さすがの)ポップな雰囲気にまとまっているのだが、間奏のノイジーなギターソロなどは、同時期のワンズのシングル曲では極めて珍しい部類に入りそうなので、メンバーの「ささやかな抵抗」メッセージソングの可能性も否定できないんじゃないかとも思う。(9/9)

 

028.「夢見る頃は 帰らざる  恋など知らぬ 春でした」 

   <MEMO>「ありがとう/桑田佳祐(02)」(作詞/作曲:桑田佳祐)

☆アルバム「ROCK AND ROLL HERO」のラストに収録。全般にロック色の強いアルバム中にあって、唱歌風のノスタルジーに溢れる曲。

☆サザンオールスターズでもソロでも、「恋と夏」を唄ってきた桑田の「恋など知らぬ春でした」は、なんとも胸に染みるのです。僕は以前から、サザンのアルバム『KAMAKURA』に収録された『吉田拓郎の唄』は、吉田拓郎の『吉田町の唄』への返歌だと主張しているのだが、「オレなら過去など唄わない」と突っ張っていた桑田がその後、『心をこめて花束を』や今回の『ありがとう』などで「過去」を唄うようになった経緯と、はたして吉田拓郎への謝罪はあったのかどうかという点にタイヘンな興味がある。(10/23)

 

029.「今さらカードに 愛の奇跡もとめて いかさま占いは続く スペードをハートに」 

   <MEMO>「迷い道/渡辺真知子(77)」(作詞/作曲:渡辺真知子)

☆愛しいばかりに、物事を自分に都合の良いように解釈してしまう。それは占いも同じで、良い結果が出るまで繰り返したり…。

☆上のフレーズは、いわゆる2番に出てくるが、上手い、実に上手い。思わず座布団あげたくなるほどに。(12/16)

 

030.「車乗ってドライブ  一人乗り  色着けた この街は 一人用には 造られてはいない」 

   <MEMO>「目隠しの街/キンモクセイ(02)」(作詞/作曲:伊藤俊吾)

☆アルバム『音楽は素晴らしいものだ』に収録。

☆邦楽の既存の楽曲やアーティストからエッセンスを取り出して上手に料理してみせるバンド・キンモクセイ。この曲に関していえば、キリンジの『グッデイ・グッバイ』あたりを意識していそうだ。キリンジが意味を繋がりを壊して言葉の組み合わせで遊ぶのに対して、キンモクセイは意味の繋がりを保った歌詞づくりをしている。というような小難しいことを抜きにしても、上のフレーズは「おじょうず」なんです。(12/30)

 


 

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